ホームページの作成は、初心者向けのツールも増えてきており簡単に行えるようになってきています。一方で、オンラインビジネスのためのEコマースストアを構築するには、顧客が使いやすいユーザーインターフェース(UI)や購入完了までのスムーズな導線などを考慮したり、売り上げにつなげるためにカスタムドメインの取得や検索エンジン最適化などを行ったりしなければなりません。
この記事では、どのEコマースプラットフォームにも共通する販売サイトの作り方を6つのステップにわけて解説します。
1. 販売サイトのターゲット顧客と達成目標を決める
販売サイトの成功は、販売サイトのターゲット顧客と達成目標を設定し、商品を買いたいと思っている人に商品を届けることができるかどうかにかかっています。ターゲット顧客を設定することで、達成目標に対する効果的な戦略を立てることができます。ホームページ販売を始める前に、以下の項目を決定しましょう。
ターゲット顧客の設定
販売サイトを作るためには、ターゲット顧客を設定することが重要です。ターゲット顧客は、提供する商品やサービスを購入する可能性が最も高い人々です。ターゲット顧客に共通する行動パターン、悩み、目標や、性格や年齢層などを調査し、ビジネスの意思決定の指針となるペルソナを作成しましょう。
競合調査
ターゲット顧客が重なりそうな競合サイトを把握し、競合分析を行いましょう。競合分析と全体的な市場分析を行い、その結果をもとに、販売商品の強みやセールスポイントを決定していきます。
自社分析
競合分析に加え、自社分析も行います。競合、自社、市場の3C分析を行うことでホームページ販売の戦略がたてやすくなります。また、競合と差別化を図るために、自社のオリジナリティは何かを考えましょう。オリジナリティを考えることで、潜在顧客に対してのアプローチ方法が明確になります。ビジネスにおける強みや弱みを知れるSWOT分析(英語)を行い、ビジネスのアイディアの良し悪しを判断することもできます。
達成目標
ターゲット顧客の決定や競合分析などが終わったら、ホームページ販売を通して何を達成したいのかを決めましょう。達成目標を設定することで、目標達成までにかかる時間を予測し効率的に準備をしたり、目標達成のために必要な方法を模索したりすることができるので、効果的に商品やサービスを販売することができます。目標に向かっているかどうかを表す指標のKPI(Key Performance Indicator)などを活用して、定量的に分析することもおすすめです。
2. ドメイン名とウェブホスティングサービスを選ぶ
販売サイトを立ち上げるには、ウェブ上の住所にあたるドメインとウェブサイトのデータを保管するウェブホスティングを決める必要があります。以下に、Eコマースプラットフォームを利用して販売サイトを立ち上げるまでの、ドメイン取得のステップをご紹介します。
- カスタムドメイン名を選択:ウェブサイトのドメインはお店の住所のような役割をはたしています。短く、記憶に残りやすいドメイン名を選択しましょう。利用可能なドメイン名を選んだら、購入してドメイン登録しましょう。
- 販売サイトプラットフォームを選択:使いやすさ、運用コスト、対応している機能から販売する商品やサービスに合うプラットフォームを選択しましょう。Shopifyは、ウェブホスティングから在庫管理、チェックアウトまで、通販サイトで必要な業務のすべてを一カ所でまとめて行いたい人におすすめです。
- ウェブホスティングサービスを選択:ウェブサイトはコンピュータのサーバー上に存在しており、ネット販売のサイトを開設するには、月額または年間サブスクリプションでレンタルサーバーを別途契約することになります。ウェブホスティングのコストは選ぶサービスによって異なりますが、月額料金で500円から20,000円程度を想定しておくとよいでしょう。プラットフォームによってはデータを保管・公開するウェブホスティングも提供しているものもあります。
3. 販売サイトのデザインを行う
Shopify、Wix(ウィックス)、BASE(ベイス)、makeshop(メイクショップ)のような販売サイトプラットフォームは、CMS(Contents Management System:コンテンツ管理システム)を提供しており、サイトのデザインを自由に変更することができます。ここでは、ウェブサイトをデザインする際に必要な要素をご紹介します。
- ターゲット顧客に合わせたデザイン:ウェブサイトのデザインでは、顧客の好みに合わせた、明確で一貫性のある配色、アイコン、フォント、グラフィックなどが重要となります。競合サイトのデザインからインスピレーションを得たり、プラットフォームが提供するテンプレートを使用したりしてオリジナルのウェブサイトを作成しましょう。Shopifyを使用したウェブサイトからデザインのインスピレーションを得ることもできます。
- 使いやすいUI:UI(ユーザーインターフェース)とは、ユーザーと商品やサービスをつなぐ接点のことで、ウェブサイトのレイアウトやデザイン、ボタン配置などあらゆる要素が含まれます。顧客は、パソコン、タブレット、スマートフォンなどでウェブサイトのUIに触れるため、あらゆるデバイスで使いやすいUIが提供できるようにすることが大切です。Shopifyでは、顧客がウェブサイトを訪問してから購入完了するまでの動作をスムーズに誘導できるテンプレートを提供しています。
- コンテンツ:販売サイトのコンテンツには、商品ページに掲載される商品説明や画像、商品やサービスについて書かれたブログや動画が含まれます。また、顧客に商品をレビューしてもらい、それをコンテンツとして掲載するUGC(User Generated Content )を促すこともできます。レビューを掲載することで、顧客からのリアルな声を届けることができるので販売サイトの信頼性を上げることができます。
4. 検索エンジン向けの対策を行う
検索エンジンで上位表示されれば、より多くの顧客にリーチすることができます。検索エンジンから高い評価を得るにはSEO(Search Engine Optimization)対策が必要です。ここでは検索順位を上げるための戦略をご紹介します。
- SEOの基本を学ぶ:SEOは日本語では検索エンジン最適化と呼ばれ、検索エンジンの検索結果ページでウェブサイトを上位に表示させることを目的としてさまざまな施策を行うことを指します。SEO対策には、SEOを意識したコンテンツライティング、ウェブサイトのコードなど可視化されている部分のSEO対策、内部リンクの設置など、さまざまな方法が存在しています。SEOチェックリストを利用すると効率的に対策を行うことができます。
- キーワード調査を行う:キーワードとは、ユーザーが検索エンジンに入力する単語やフレーズのことです。Google(グーグル)が提供しているキーワードプランナーや無料ツールのラッコキーワードなどを使えば、特定のキーワードの検索ボリュームを確認することができます。その他にも、検索履歴やクッキーなどが保存されないプライベートモードで関連キーワードやサジェストキーワードを調査することも効果的です。調査で効果的なキーワードが見つかったら、それを利用したコンテンツ作成などのSEO対策を行いましょう。
- Googleアナリティクスを設定する:Googleアナリティクスは、Googleが提供しているウェブサイトの流入やユーザーの行動を調査するのに役立つ無料ツールです。特定のページでの滞在時間、ウェブサイト訪問者が閲覧時に使用するデバイス、検索エンジンやソーシャルメディア、外部リンクなどの流入元の分析をするのに役立ちます。得られたデータを基にウェブサイトのトラフィック改善につなげましょう。
5. 販売サイトを公開し宣伝する
販売サイトの設定が終わると、ようやくホームページ販売を開始できます。公開したら、より多くの人に訪問してもらえるよう宣伝することも大切です。ここでは、販売サイトを宣伝するためのいくつかのマーケティングアイディアをご紹介します。
- 販売チャネルを選ぶ:販売チャネルには、企業対消費者(BtoC)市場、企業対企業(BtoB)市場、卸売市場、あるいはPayPayモールやメルカリのような最新のマーケットプレイスなどが挙げられます。複数の販売チャネルを活用してマルチチャネル戦略を行い、商品の販売チャンスや認知度の拡大につなげましょう。
- SNSで宣伝する:SNSマーケティングは、販売サイトへのトラフィックを促進し、ブランド認知度を高め、潜在顧客と直接コミュニケーションを取るのに役立ちます。コンテンツを定期的に投稿し、ユーザーのコメントに返信することで、SNSを利用する人々と信頼関係を築くことができます。ターゲット顧客が好むSNSで、好まれる投稿スタイルや各SNSのアルゴリズムの違いなどを考慮して運用を行いましょう。SNS管理ツール(英語)を利用すると、効率的に運用することができます。
- カスタマーレビューを募る:顧客からレビューを募ることで正直な感想を他のユーザーに届け、ブランドの信頼につなげることができます。肯定的なレビューは、潜在顧客が販売サイトから商品を購入することを促し、否定的なレビューは、ブランドに貴重なフィードバックを提供し、商品やサービスの改善につなげることができます。BASEが2023年に行った調査によると、92.4%の買い物客が商品を購入する際にレビューを確認しているということが明らかになっています。購入後に商品ページにレビューを残してもらうようにしたり、顧客満足度アンケートの結果を販売サイトで公開したりして、カスタマーレビューを効果的に活用しましょう。
6. 販売サイトの更新や改善を継続的に行う
売り上げを伸ばすためには、継続的な販売サイトの改善が欠かせません。そのための4つの戦略をご紹介します。
- プラグインをインストールする:ShopifyのようなEコマースに特化したプラットフォームでは、アプリなどをインストールして販売サイトの機能を強化することができます。例えば、配送サービスの効率化やサービスを向上させたい場合は、送料の見積もりや配送ラベルの印刷を行うことができるアプリをShopify App Storeで検索し、導入することができます。その他にも、割引価格の設定など価格設定に役立つアプリや予約販売を可能にするアプリなど、利益率を上げたり顧客のニーズに応えたりできるアプリを導入し、販売サイトを改善していきましょう。
- 新しいコンテンツを追加し続ける:ブログ記事、動画、新しい商品リストなど、定期的にコンテンツを追加して、常にウェブサイトを最新の状態に保つのは有効な集客方法のひとつです。顧客に有益な質の高いコンテンツは検索エンジンの評価を上げてサイト訪問者を増やすことができるだけでなく、販売サイトの信頼感を上げたり顧客の商品やサービスに関する理解を深めたりして、商品購入を促すこともできます。
- 顧客が喜ぶ特典やサービスを導入する:さまざまなプロモーションやサービスを通じて購買意欲を刺激し、顧客の再購入を促しましょう。会員限定のロイヤリティプログラムや、メールマガジンで配信される割引コードなどのプロモーションが有効です。後払いプランや今すぐ購入ボタンなど顧客の利便性を高めるサービスの追加も効果的です。
- サイトのトラフィックをモニターし続ける:Googleアナリティクスやプラットフォームの分析機能を使用して、リンクのクリック数や各ページの訪問数、購入者の属性など、顧客の販売サイトでの動向を確認しましょう。得られたデータを基に、ビジネスプランや商品アイディアを見直したり、新しいマーケティングキャンペーンを計画したりしましょう。SEO対策に役立てることで、検索順位を高め集客につなげることができます。
まとめ
この記事では、販売サイトを作成するための基本的な6つのステップについて解説しました。販売サイトの作成は、ターゲット顧客を決めることから始まり、プラットフォームの選定、販売サイトのデザインやコンテンツ作成、SEO対策、そして公開と改善まで、さまざまなステップが存在していますが、手順を踏めば初心者や個人でも販売サイトを作ることが可能です。また、Shopifyのようなサイト作成や販売に関する機能が充実したプラットフォームを使うことで、より簡単に販売サイトを作ることができます。販売サイトの作り方がわからないという人は、この記事を参考に手作りの販売サイトを立ち上げて、ホームページ販売に挑戦しましょう。
販売サイトの作り方でよくある質問
店頭販売とネット販売の違いは?
店頭販売は物理的な店舗での対面販売で顧客と直接コミュニケーションを取るのに対し、ネット販売はオンラインの店舗を通じて商品を提供し、顧客とのコミュニケーションもオンライン上で行う点に違いがあります。
Web販売とは?
Web販売とは、インターネットを介して商品やサービスを販売する販売形態です。オンラインショップやマーケットプレイスを通じて、時間や場所に制限なく顧客にアプローチできるのが大きなメリットです。また、SEO対策やオンライン広告を活用することで、より多くの潜在顧客にリーチすることができます。
通販サイトを作るのにプログラミングの知識は必要?
通販サイトを作るのにプログラミングの知識は必ずしも必要ではありません。Shopifyのような、豊富なテンプレートやアプリなどを提供するECプラットフォームを利用することで、専門知識がなくても簡単にクオリティの高い通販サイトを作成できます。
文:Ryotetsu