ECサイトを運営するにあたって、適切な配送料の計算方法がわからず、悩んでしまう人も多いでしょう。本記事では、ネットショップにおける送料の計算方法や配送料の決め方・考え方、他社の送料設定を目安として解説します。
ネットショップの送料の計算方法
ネットショップでは、上記いずれかの方法で送料を計算している場合が多いです。利益のことも考慮しつつ、事業に合った配送方法が何かを考えてみましょう。
配送条件をもとに送料を計算する
送料は、配送条件をもとに考えることが大前提です。配送する商品の個数や重さ、サイズ、配送先の距離など、さまざまな要素を考慮に入れましょう。たとえば、ソファーなどの重い商品は重量により送料が高くなる分、設定金額を高めないと得られる利益は減少してしまいます。そのソファーを遠方へ配送する場合、距離に比例して輸送コストが増加するため、さらに高く送料を設定する必要があるでしょう。
このように、送料を配送条件に合わせて適切に設定することで、利益率を維持しつつ、顧客に公平な配送料を請求できます。
注文金額に応じて送料を計算する
注文金額に応じて、送料を決定することも戦略のひとつです。たとえば、3,000円以上購入で送料無料に設定することで、送料無料の条件を満たすために追加で商品を購入する顧客が増えると考えられます。実際、一定額以上の購入で送料無料にする戦略は、平均注文単価を伸ばす効果が期待できるため、多くのネットショップで採用されています。
ただし、送料をカバーできる販売価格の設定が不可欠です。そのためには、事前に商品ごとの送料や利益を維持しながら提供できる無料配送の条件を慎重に計算する必要があります。
発送手段ごとに設定する
宅配便やメール便などの発送手段ごとに送料を設定するのもひとつの手です。顧客のニーズや商品の性質に合わせた発送方法を選択できる利点があります。たとえば、陶器などの壊れやすい商品を販売する際は梱包が丁寧な宅配便を利用し、DVDなどの小さな商品を販売する際は送料が安価なメール便を利用するなどです。
顧客自身が発送手段を選べるメリットがある一方、発送手段の特性を理解していない顧客が不適切な手段を選択してしまうリスクもあります。そのため、商品ページで発送手段の特徴も記載しておくとよいでしょう。
配送先から送料を計算する
地理的な位置に基づき、送料を設定する方法です。たとえば発送元が東京の場合、首都圏内は無料、本州内は500円、九州・四国は1,000円、沖縄・北海道は1,500円といった具合に設定します。
配送先ごとに送料を決めるのは公平な価格設定ですが、遠方に暮らす顧客は高額な送料を負担しなければなりません。遠方に暮らす顧客にも商品を購入してもらいたい場合、事業者側が送料の一部を負担するなどの対応を取るとよいでしょう。
利益を考慮して全国一律の送料を計算する
送料をわかりやすくしたい場合、全国一律に設定するのがおすすめです。送料が混乱を招くリスクが減るだけでなく、顧客が暮らす場所に関係なく一律で徴収できるため、地域差による不公平感をなくすことが可能です。
ただし、一律料金を設定する際には全国平均の配送料や資材費、人件費を総合的に考慮し、損しないように料金を設定する必要があります。計算がシンプルで顧客にとってわかりやすい反面、遠方の顧客が購入した際の配送コストをどのようにカバーするかが課題となります。
ネットショップの送料に影響を与える要素
荷物の重さ
荷物が重くなるにつれて配送コストが上昇するため、そのコストをカバーできるように重量に応じて送料が高く設定されています。重い荷物の場合、輸送に特別な機器や人手が求められることがあり、さらに燃料費も高くなるためです。
重量の基準は配送業者に異なり、ヤマト運輸とゆうパックは30kgまで、佐川急便は50kgまで配送できます。
荷物のサイズ
送料を計算する際、荷物のサイズを考慮しましょう。荷物が場所を取るほど、荷物の積載量が減少し、運べる荷物の総量が少なくなります。その損失を抑えるために、コストが上乗せされるためです。
大きな荷物は「容積重量」という考え方のもと、容積に比例して送料が高くなります。容積重量は実際の重さは異なり、荷物の縦・横・高さを掛け合わせた値に、配送会社が定める係数で割ることで算出されます。
配達できる荷物のサイズは、配送業者ごとに異なるため、注意が必要です。ヤマト運輸は荷物の縦・横・高さの合計が200cm以内、ゆうパックは合計が170cm以内、佐川急便は合計が260cm以内のサイズの荷物を配達できます。
配送先までの距離
荷物が運ばれる距離が長いほど、かかる輸送費が高くなるため、送料も増加します。北海道や沖縄などの離島へ荷物を配送する際は、追加料金が加算されることがあり、送料はより高くなります。そのため、送料を計算する際は、配送先までの距離を考慮しましょう。する必要があります。
荷物が配送先に届くまでの時間
荷物をより早く配送先に届けるために速達を利用する場合も、送料が高くなります。通常の配送と異なり、速達は土日祝日も配達が行われ、通常より人件費がかかるためです。その分を補填できるよう、速達は送料が高く設定されています。
速達を利用すると顧客に荷物を早く届けられる反面、送料が高くなり、得られる利益が少なくなることを理解しておきましょう。
貨物・運送保険の有無
貨物・運送保険とは、荷物の輸送途中で発生するさまざまなリスクに対応するための保険です。輸送中の事故や災害はもちろん、保管時における火災や盗難などから荷物を守ることが可能です。しかし、保険料を負担しなければならないため、配送料にそのコストを上乗せする必要があります。
一例として佐川急便の場合、保険金額1万円につき10円が保険料として徴収されます。配送業者ごとに料金設定は異なるため、貨物・運送保険を利用する場合は保険料を調べたうえで送料を計算しましょう。
送料計算サイトや送料一覧の活用
実際に利用する配送業者の送料の目安を知りたいと感じる人も多いはずです。適切な送料を設定するために、上記企業の送料計算サイトや送料一覧を活用しましょう。
ヤマト運輸(クロネコヤマト)
宅急便:720~8,200円
クール宅急便:1,160~4,900円
宅急便タイムサービス:1,270~10,840円
目安として、主要なサービスの利用にかかる送料の最安値・最高値を記載します。荷物のサイズや重量、配送距離に応じて値段が異なるため、ヤマト運輸(クロネコヤマト)の送料計算サイトで事前に確認しましょう。利用するサービスと発地、着地を選ぶだけで送料を調べられます。
また、縦・横・高さの合計(サイズ)が200cm以内で30kgまでの宅急便や縦・横・高さの合計が60cm未満の宅急便の送料計算をする場合、料金の一覧表を活用するとよいでしょう。
日本郵便
手紙とはがき:63~1,350円
クリックポスト:185円
ゆうパック:820~5,090円
ゆうパケット:250~360円
レターパック:370円または520円
日本郵便における送料の最安値・最高値は、上記のとおりです。より正確に調べる際は、日本郵便のサイトから利用するサービスを選択し、送料を計算しましょう。
ゆうパックの郵便料金は、荷物の縦・横・高さの合計が170cm以下、重さ25kgまでを対象としています。重さが25kg超え30kg以下の荷物は、560円が加算されます。また、無料で当日配送のサービスも適用できますが、利用可能なエリアが限られているため、注意が必要です。
佐川急便
宅配:850~51,040円(クール便の場合は+275~1,100円)
信書:1,160~14,740円
大型家具・家電設置:2,651~109,109円
通常配達の場合、送料は上記のとおりに設定されています。縦・横・高さの合計が最大260cmのサイズ、重量50kgまで配達できるのが特徴です。また、佐川急便の送料計算サイトでも、荷物の詳細と配送距離、配送速度をもとに金額を調べられます。
重量のある商品を配送する場合、佐川急便の送料設定を参考にするとよいでしょう。
Shopifyの送料設定方法
Shopifyでは、上記の送料設定が可能です。定額送料はもちろん、価格や重量に応じた送料設定、商品や重さ、料金ごとに条件追加も可能なため、事業者に合った設定を適用できます。
さらにShopifyでは、プレミアムプランかPlusプランに加入していて、外部の配送業者を利用している場合、配送料の自動計算が可能です。。また、UPS(ユナイテッドパーセルサービス)とFedEx(フェデックス)の配送業者のアカウントを持っている場合、Shopify管理画面と連携することで、顧客が会計した際に配送料が自動計算され、画面に表示されます。
定額配送料の設定
- 管理画面の「設定」>「配送と配達」にアクセスする
- 「配送料を追加する配送プロファイル」>「送料の追加」をクリックする
- 「輸送時間」または「カスタムの一定料金」で配送料を設定する
- 必要に応じて重量や料金の条件を追加する
- チェックアウトプレビューで表示を確認する
- 「完了」をクリックし、最後に「保存」をクリックする
Shopifyで定額配送料を設定する際は、上記の手順で行います。定額配送料とは、注文に基づいて徴収する送料のことです。商品に関係なく一律で請求する方法もあれば、価格や重量ごとに細かく設定する方法もあります。
たとえば、5,000円以下の注文には800円、5,000円を超える注文には300円の送料を設定するなどです。重量も同様に、商品が10kg以下の場合は1,000円、10kgを超える場合は2,000円など、かかるコストに応じて適切な送料を設定できます。
また、Shopifyペイメントを使用している場合は、現地通貨に合わせた定額配送料を設定することも可能です。重量や料金の条件を追加する前に、該当する通貨を選択すれば設定完了です。
地域別配送料の設定
- 管理画面の「設定」>「配送と配達」にアクセスする
- 「配送プロファイル」>「送料を管理する」を選択する
- 「国内配送」>「ゾーンを編集する」を選び、配送料を変更したい地域を選択する
- 「新しい配送エリアを作成する」で配送先にしたい地域を選択する
- 「送料を追加する」から送料を設定する
- 「条件を追加する」で重量や料金に基づいた配送料を設定する
Shopifyで地域ごとに送料を設定するには、上記の操作が必要です。地域別配送料を導入すれば、配送先に応じて適切な送料を請求できます。北海道や沖縄県といった離島への配送時に負担しなければならない事業者側のコストを抑えられる利点があります。また、Shopifyでは、配送先にしたい地域から外国を選ぶことも可能です。
無料配送オプションの設定
- 商品ごとに送料設定する場合:対象商品のカスタム配送プロファイルを設定前に作成する
- 「設定」>「配送と配達」に進み「配送プロファイル」を選択する
- 「送料の追加」をクリックし、送料名を入力する
- 「価格」フィールドの値を0に設定する
- 料金ごとに送料設定する場合:「条件を追加」>「注文額に基づく」を選択し、最低金額を設定する
- 重量ごとに送料設定する場合:「条件を追加」>「アイテムの重量に基づく」を選択し、最小重量を設定する
- 「完了」>「保存」で設定を確定する
無料配送の設定方法は、上記のとおりです。無料配送では、事業者が送料を負担します。しかし、無条件で送料を負担するのではなく、特定の条件を満たす場合に無料配送するケースがほとんどです。たとえば、5,000円以上の注文をした場合のみ、送料を無料にするなどの条件が考えられます。
Shopifyでは料金だけでなく、重量や商品ごとに細かく無料配送を設定できます。
配送ポリシーのページを設定する方法
- 管理画面の「設定」>「ポリシー」にアクセスする
- 配送ポリシーを直接入力、または「テンプレートから作成」からデフォルトの配送ポリシーを利用する
- ポリシーの内容を確認・編集したあとに「保存」をクリックする
上記の手順を実行すると、自動的に配送ポリシーがチェックアウトページに表示されます。配送ポリシーとは、商品の配送に関わる規定をまとめたものです。顧客の多くは、商品の購入前や配送トラブルがあった際に配送ポリシーのページを確認します。顧客が安心して購入できるように配送ポリシーのページを設定しましょう。
注意点は、配送ポリシーのテンプレートが日本語に対応していないことです。そのため、英語で作成した配送ポリシーを翻訳するか、KIYAC(キヤク)のような外部サービスを利用することが求められます。
配送ポリシーのページに記載すべき事項
配送料金の設定
配送料が商品価格に含まれているのか、別途必要なのかを明確に記載しましょう。一律で送料無料のサービスを提供している場合はその旨を、配送料を別途徴収する場合は地域・重量による変動料金かなどを示す必要があります。
また、配送方法ごとの料金設定も合わせて説明し、可能であれば料金表を掲載すると、よりわかりやすくなります。
配達にかかる時間
配達にかかる時間の目安も記載しましょう。たとえば、決済が完了してから何週間後に商品が発送される予定なのかなどです。速達に対応できる場合も、何日間で届けられるのかを記載することで、急ぎで商品を必要とする顧客のニーズに応えられます。また、休業日や祝日に発送を行わない場合、その旨もあわせて記載するとよいでしょう。
返品と払い戻しについて
返品と払い戻しに対応する条件は細かく、そして正確に記載しましょう。顧客が安心して商品を購入できるだけでなく、返品や払い戻しに関するトラブルを回避する重要な役割を担っています。条件は詳細かつ明確に記載しましょう。例えば、次のような条件が考えられます。
- 商品受け取りから1週間以内であること
- 新品・未使用であること
- 付属品や納品書、購入日時のわかるものがあること
- 顧客側が送料を負担すること
- セール商品は対象外であること
荷物の紛失や破損時の対応
荷物の紛失や破損時の対応も記載しておきましょう。たとえば、貨物・運送保険を利用していることを記載すれば、万が一の事態があっても問題ないことを顧客に伝えられます。また、保険を利用する場合は徴収される保険料がいくらなのか、保証額の上限がいくらなのかをあわせて明記しましょう。
荷物の追跡サービスの有無
荷物の追跡サービスは、荷物が現在どこにあるのかを確認できる便利な仕組みです。荷物一つひとつに割り振られる追跡番号を注文ページなどから調べることで、顧客自身で配達状況をいつでも確認できます。顧客が見つけやすいように、購入後に送信するメールや注文ページに目立つように追跡番号を記載するとよいでしょう。
Shopifyでも、商品に追跡番号を追加することは可能です。
発送前に追跡番号を追加する方法
- 管理画面の「注文」から未発送、または一部発送済の注文を選択
- 注文の「フルフィルメント」>「アイテムをフルフィルメント」をクリック
- 「追跡情報」セクションに追跡番号を入力
- 複数ある場合は「別の追跡番号を追加する」から入力
- 配送業者を選択(見当たらない場合は「その他」から追跡URLを入力)
- 「アイテムをフルフィルメント」をクリック
商品を発送する前に追跡番号を取得できる場合、上記の手順で番号を追加できます。
発送後に追跡番号を追加する方法
- 管理画面から「注文」を選び、追跡番号を追加したい注文を選択
- 「発送済」セクションから「追跡情報を追加する」をクリック
- 「トラッキングを編集する」から追跡番号を入力し「配送業者」を選択(認識されない場合は手動で追跡URLを入力)
- 同一の配達業が発行した追跡番号が複数ある場合「別の追跡番号を追加する」で入力
- 顧客に配送状況の更新を通知しない場合は「お客様に通知メールを送信する」をオフ
- 「保存」をクリック
商品の発送後に追跡番号がわかる場合、上記の手順で追跡番号を登録しましょう。
まとめ
ECサイトにおける配送料の計算方法を考える際、重要なのは、荷物の重さやサイズ、配送先までの距離、配達時間、貨物・運送保険の有無を考慮に入れることです。そのうえで、損しないように全国一律で送料を設定したり、発送手段や注文金額、配送先に応じた料金設定をしたりするとよいでしょう。
また、配送ポリシーのページ作成も忘れてはなりません。配送ポリシーにトラブルや返品時の対応が記載されていれば、顧客は安心して商品を購入できるようになります。
ShopifyでECサイトを開設すれば、定額料金や地域別料金、無料オプションなど、細かな送料設定が可能です。海外発送や現地通貨での対応もできるため、国外へ商品を販売することもできます。無料体験も実施していますので、ぜひ気軽にShopifyを利用してみてください。
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よくある質問
荷物の郵送料はいくらですか?
郵送先が近隣で荷物が60サイズの場合は820円、北海道から170サイズの荷物を沖縄県まで郵送すると5,090円かかります。荷物のサイズとは、梱包した箱の縦・横・高さ(cm)を合計した値のことです。60サイズの場合、合計値が60cm以下を意味します。
郵便料金はいくらですか?
定形郵便物:84~94円
定形外郵便:120~580円
規格外:200~1350円
ミニレター:63円
レターパックライト:370円
レターパックプラス:570円
スマートレター:180円
郵便料金の最安値・最高値は、上記のとおりです。郵便料金も、郵便物の重さやサイズ、配送距離によって異なります。
Shopifyで複数の配送先へ送られる配送料を合算しない方法は?
顧客が別のロケーションで複数の商品を購入した際、Shopifyで配送料を合算しない方法は2つあります。1つは手動で片方の配送料を0円に設定する、もう1つは送料計算の機能を持つShopifyアプリを自作する方法です。
文:Yukihiro Kawata