ECサイトなどのオンラインビジネスにおいて、顧客との金銭のやりとりを代行してくれる決済代行サービスの利用は必要不可欠ですが、どのサービスを使えばいいか迷っている事業主もいるでしょう。
この記事では、ビジネスオーナーや企業が決済代行業者を比較し最適なサービスを見つけられるように、おすすめの決済代行サービスや選択する上での比較ポイントを詳しく解説します。ぜひこの記事を参考にして、自社のビジネスに合った決済代行サービスを見つけてください。
決済代行サービスとは
決済代行サービスとは、クレジットカード払いやコンビニ払いなどのさまざまな決済方法を販売店の代わりに一括して行うサービスです。
決済代行サービスを使わない場合、販売店自身が決済方法ごとにカード会社などと契約をし、顧客の支払い管理や督促などを行う必要があり、事務処理に大きな手間と時間がかかります。決済代行サービスを利用すると、決済代行会社が顧客やカード会社などと販売店の間に入り、支払いに関する手続きや事務処理を行ってくれます。
決済代行サービス14社比較
Shopify ペイメント
Shopify ペイメントは、Shopifyのオンラインストアのための決済サービスです。Visa、Mastercard、American Express、JCB、Diners Club、Discoverのほかにスマホ決済などにも対応しているので、顧客の決済方法のニーズに広く応えることができます。
Shopifyでネットショップを開くとすぐに利用できる手軽さも魅力です。Shop Payのようなワンクリックで決済ができる決済方法もあり、顧客の利便性も高めることができます。Shopifyの決済方法をどれにしようか迷っている場合は、まずはShopify ペイメントを利用してみると良いでしょう。
- 月額手数料:ベーシックプラン/$25USD(月額)、スタンダードプラン/$69USD(月額)※最初の1か月間は月額$1
- 決済手数料:カードや契約内容によって異なる
PayPal(ペイパル)
PayPalは世界的に有名なオンライン決済サービスで、2023年には4億3000万以上のアクティブユーザー数を誇り、総加盟数は3500万まで拡大しています。決済システムのほかに不正アクセス対策などの充実したカスタマーサポートを受けられるのが魅力です。また、海外での利用者数が多いので、越境ECを行うビジネスにおすすめです。
- 月額手数料:0円
- 決済手数料:3.6%+40円(国内の標準レート:月額取引量で変動)
KOMOJU(コモジュ)
KOMOJUは日本国内向けのゲーム販売から始まった決済代行サービスで、PayPayやLINE Payなどの日本で広く使用されているモバイル決済に対応しています。また、日本だけでなく韓国や中国、ヨーロッパ諸国などの主要なオンライン決済にも対応しています。コーディングも必要なく簡単に導入できるのも魅力です。
- 月額手数料:0円
- 決済手数料:決済方法や国によって異なる
Paidy(ペイディ)
Paidyは、クレジットカードが不要な決済方法を提供する決済代行サービスです。顧客は電話番号とメールアドレスだけで後払いが可能になるため、若年層などのクレジットカードを所持していない顧客にもリーチ可能です。
また、売上金の100%入金保証、未払い金の負担もサービス内で行ってもらえるので、決済代行サービスの導入が初めてでも安心して利用できます。
- 月額手数料:0円
- 決済手数料:要問い合わせ
SB(ソフトバンク)ペイメントサービス
SBペイメントサービスは、ソフトバンクグループが提供する決済サービスのひとつです。クレジットカード払いに加えてQRコード決済やキャリア決済など、40ブランド以上を取り扱っているので、支払い方法の選択肢の少なさによる顧客の取りこぼしを防ぐことができます。
また、AI不正検知、集客支援、クレジットカード分割払いの対応なども無償で行っており、カスタマーサービスが豊富な点もおすすめです。
- 月額手数料:決済サービスによって異なる
- 決済手数料:決済サービスによって異なる
NP後払い
NP後払いは、長年の不正取引監視で得たノウハウを生かし、商品を先に渡して後から代金を回収する与信の満足度を78%という高水準に保っている決済代行サービスです。利用状況に応じて毎月契約を変更できるのが魅力です。
- 月額手数料:Aプラン/0円、Bプラン/5,500円
- 決済手数料:Aプラン/5.0%、Bプラン/4.4%
※月間取引額が206万円以上の場合のプランあり
atone(アトネ)
atoneはNP後払いと同じ会社が運営しているBtoC向け会員制決済サービスです。問い合わせ対応、入金確認や督促なども行っているので面倒なやりとりを全て任せることができます。ECサイトのほかに実店舗でも導入可能です。
- 月額手数料:要問い合わせ
- 決済手数料:要問い合わせ
NP掛け払い
NP掛け払いは、anoneやNP後払いと同じ会社が提供している、BtoB取引の請求業務を行っている決済代行サービスです。
請求書発行や代金回収などの請求業務を削減することができ、代金も100%保証されるため未回収リスクも減らすことができます。また、BtoB決済代行のシェアNo.1のため、信頼性も高いのが特徴です。
- 月額手数料:12,000円~
- 決済手数料:〜3.6% ※請求書発行費用は別途
Smartpay(スマートペイ)
Smartpayは、顧客に利息や手数料が一切かからない決済代行サービスです。ワンクリック・手数料なしで分割払いができるので、単価の高い商材を扱うビジネスでは顧客獲得や売り上げアップに有効です。
- 月額手数料:要問い合わせ
- 決済手数料:要問い合わせ
後払い.com
後払い.comは、顧客が商品を受け取った後にコンビニやスマホで支払いをすることができる決済代行サービスです。キャンセルや返品が発生しても費用負担がないため、小さな傷が問題になるコレクター向け商品などを取り扱っている業者と相性がいいサービスです。
- 月額手数料:リスクフリープラン/0円、スタンダードプラン/4,950円
- 決済手数料:リスクフリープラン/4.8%、スタンダードプラン/4.2%
Epsilon(イプシロン)
Epsilonは、主要な決済サービスを扱うGMOペイメントゲートウェイの子会社が提供する決済代行サービスです。また、BtoBに特化したプランもあり、カード決済、代引き決済、銀行振込(バーチャル口座)などを利用でき、最短15日で売上金を回収できます。
- 月額手数料:契約内容や決済サービスによって異なる
- 決済手数料:契約内容や決済サービスによって異なる
Paygent(ペイジェント)
PaygentはBtoBとBtoCともに広く利用されている決済代行サービスです。決済サービスの導入方法にいくつか選択肢があり、自社サイト内で決済まで完結できるモジュール(API)、ECサイトへの連携をせず、開発不要で最短で利用開始できるメールリンクなど自社に合った導入方法を選択できます。
- 月額手数料:要問い合わせ
- 決済手数料:要問い合わせ
Paid(ペイド)
Paidは 2021年9月期に企業間取引でNo.1の導入数を達成したBtoB向けの決済代行サービスです。請求業務の代行に加えて、取引先からの遅延や未払い対応をしてくれるので安心して取引ができます。また、インボイス制度(適格請求書の発行)にも対応しています。
- 月額手数料:0円
- 決済手数料:0.5~3.1%
ZEUS(ゼウス)
ZEUSは25年以上の実績を持つ決済代行サービスです。さまざまな決済方法や導入方法を提供しているため、自社のニーズや業種に合わせて選ぶことができます。
- 月額手数料:プランや決済方法によって異なる
- 決済手数料:プランや決済方法によって異なる
決済代行サービスを利用するメリット
簡単に多様な決済方法を導入できる
決済代行サービスを利用することで、本来であれば決済方法ごとに行う契約や審査を一括して行うことができます。新しい決済方法を追加する場合も決済代行会社に申請を行うだけで追加でき、すばやく顧客のニーズに応えることができます。
代金の回収や入金管理もまとめてできる
支払いが遅れている顧客への督促や、入金や売り上げの管理を行う決済代行サービスを利用すれば、入金管理などの業務負担を少なくすることができます。決済ごとに契約している場合、自分自身で支払いの遅れを管理したり、金融機関などへの入金確認を注文ごとに行ったりしなければなりません。決済代行サービスを利用することで、見落としなどの人的ミスをなくし未払いを防ぐことができるだけでなく、入金日が明白になるため、次月の収益運用の見通しを立てることもできます。
機会損失の防止・売り上げの増加が見込める
顧客が希望する決済手段を豊富にそろえることで、顧客の支払いの手間削減やカゴ落ち(商品カートに商品を入れたままウェブサイトから離脱し、購入をやめてしまうこと)を防ぐことができます。
経済産業省は、2023年の日本でのキャッシュレス決済使用率は39.3%だと発表しました。これからもこういった決済方法の需要が伸びていくことが予想され、決済サービスの拡充による機会損失の防止は、間接的に売り上げ増加につながるといえるでしょう。
ビジネスチャンスを拡大できる
海外で主要な決済方法を導入できる決済代行サービスを利用すれば、日本国内だけでなく海外の顧客にもリーチできるので販路の拡大が見込めます。
日本国内の場合でも、ターゲットとなる顧客層が好んで使う決済方法を導入することで、利便性が高まり利用者が拡大する可能性があります。また、決済サービスの取扱店舗に掲載され露出が増えることで新規顧客の獲得も期待できるでしょう。
決済代行サービスを利用するデメリット
手数料による利益低下
決済代行サービスを導入することで、月額費用や各決済の手数料などで利益が減ってしまう点に気を付けましょう。契約前に、既存の顧客数や月間販売数、売り上げなどと決済代行サービス手数料を計算し、全体の収益に大きな影響がないか確認するようにしてください。
システムアップデートの影響
決済代行サービスのシステムアップデートや年末年始などの大型連休が重なると、一時的に利用が制限される場合があります。また、決済代行会社のトラブルなどでサービスが停止された場合、全ての決済方法が使えなくなってしまう可能性があります。そういった場面でも何かしらの支払い方法が担保できるよう、銀行振込や代金引換などの決済代行サービスに依存しない支払い方法も準備しておきましょう。
問題発生時のトラブル対応
決済サービスにエラーが出た場合、一次対応として顧客対応に追われる可能性があります。考えられる原因の説明や代替案など、決済方法ごとに最低限把握しておく必要もあり、カスタマーサービスの役割を果たさないといけない場面も考えられます。
顧客からの問い合わせにも対応している決済代行サービスを利用する、問題が起きた際のワークフローを整理しておくなど対策をとっておきましょう。
決済代行サービスの選定ポイント6つ
手数料や固定費
手数料や固定費が大きすぎると、利益の減少や日々の運営費の圧迫につながります。想定される全体の収入とランニングコストを把握し、決済代行のサービス内容と手数料のバランスが自社に合っているかを確認しましょう。
長期間定額で契約すると費用が安くなる決済代行サービスなど、固定費を節約できる場合もあります。決済代行会社を決める際は手数料を比較して検討するようにしましょう。
対応している決済方法の種類
決済代行会社がどの決済サービス・支払い方法に対応しているか確認しておきましょう。高額商品の場合分割払いが好まれるので、決済サービスに加えてどのような支払いの流れが可能なのか確認することも大切です。
1つの決済代行会社との契約で全ての決済方法が使える場合、必要のないものがないかも見ておきましょう。決済方法の取り扱いが多い分月額費用が高くなる傾向があるので、自社のターゲット層に合った会社と契約することが重要です。
収入の振り込みのタイミング
決済代行サービスで支払われたお金がいつ販売店側に振り込まれるのかも重要なポイントです。振り込みのタイミングによって自社のマネーフローが変わってくるため、商品の仕入れや各種固定費など運営に関わる支払いに支障がでないかどうかを確認しましょう。決済代行会社を比較する際は、月に複数回振り込みされるオプションなどを提供しているかどうかも確認すると良いでしょう。
セキュリティ・信頼性
契約する際は、決済代行サービスのセキュリティや信頼性についても確認しましょう。個人情報や支払い情報などがどのように取り扱われるのか、万が一流出してしまった場合の対応はどうなのかを確認することはとても重要です。実際に、日本で広く使用されているオンライン決済で不正アクセスによる加盟店などの情報流出が起こっています。この場合、決済サービスへの不信感から間接的に商品売り上げが下がる可能性があります。
また、不正利用された場合の検知システムやトラブル時のサポート体制は整っているか、越境ECでは国際基準のセキュリティ規格を満たしているかどうかなどを比較しましょう。安全な決済代行サービスを使用することは、顧客からの信頼獲得だけではなく、トラブル時の対応コストを回避する意味でも重要です。
BtoB向けか、BtoC向けか
BtoBとBtoCどちらに強い決済代行業者なのかを確認しましょう。どちらも提供している決済代行業者の場合、BtoBとBtoCではサービス内容や料金が変わる場合があるので、決済代行システムを比較する際はサポート内容を詳細に見ておくことをおすすめします。
BtoCの決済代行サービスでは、顧客からの支払いに関する問い合わせに土日祝日も対応してくれるものや、若年層や女性の顧客獲得に強みを持つものなどもあります。
BtoB向けの決済代行サービスでは、請求書の発行や代金の回収など企業間での複雑なやりとりも代行してくれるため、請求に関わる業務負担を軽減させることができます。
自社の業態に合ったビジネスモデルに強みを持つ決済代行サービスを選びましょう。
カスタマーサポートの充実性
疑問点や問題が発生したときに早急に対応してくれるかどうかも確認しておきましょう。決済に対するトラブルにも対応してくれるサービスを選ぶことで、社内対応の工数を減らし業務を効率化させることができます。カスタマーサポートが充実していない場合、トラブル時に自社内で全て対応しなければならず、手間や人的コストを上げる原因になってしまいます。
まとめ
クレジットカード払いやキャリア決済、後払いなど、顧客が求める支払い方法が多様化してきています。販売店がそれぞれの決済方法を個別に導入するのは労力やコストが大きくなってしまうため現実的ではありません。必要な決済方法を一括で導入できる決済代行サービスを利用することで、導入コストや請求業務負担を減らしつつ顧客の支払い方法のニーズに応えることができます。
月額費用や手数料などのランニングコスト、督促や問い合わせ対応などのカスタマーサービス、業種やBtoBなのかBtoCなのかといった業態に適合しているかなどを比較し、自社に合った決済代行サービスを見つけてください。
よくある質問
決済代行サービスで有名な会社は?
世界的に有名な決済代行サービスはPayPal(ペイパル)です。
文:Ryotetsu