Shopifyが日本展開を開始されてから越境ECを視野にECサイトをリニューアルされる事例が増えてきました。またそれに伴い、海外配送ができる倉庫への移管案件や倉庫自体が越境EC物流機能のラインを増築する事例も出てくる様になりました。
しかし新型コロナウィルス感染症が世界中で蔓延したことにより、海外からの注文は多く入るものの、海外配送ができないケースが急増しています。3月12日に日本郵便が中国当ての国際郵便物の一時引受停止を発表、その20日後の4月1日には126カ国の国際郵便物の一時引受停止を発表しました。そして4月7日に緊急事態宣言が発令され、4月23日にはアメリカを含むや更なる引受停止(24日実行)を発表、今では146カ国に拡大しています。日本郵便の告知が引受停止の前日に発表されていることもあり、既に受注を受けている越境ECサイト運営事業者様は海外からの受注ストップ通知や返金対応に追われています。4月24日時点では日本郵便の国際郵便物引受がいつ再開されるかも定かではありません。
国際郵便と一般輸出貨物の違い
越境ECの海外配送において最も利用されていたのは日本郵便のEMS(国際スピード郵便)です。FedExやDHL、UPSなどのクーリエとは違い、EMSは国の郵便事業体が行なっている公的な国際輸送サービスであり、一般輸出貨物ではなく国際郵便の取り扱いとなるため、詳細なる通関手続きがありません。内容物が20万円以上となる場合は、通関手続きを行う必要がありますが、越境ECで販売されている商品の殆どが20万円以下。送料も1EC事業者様が発送する場合はクーリエよりも安く、今まで多く利用されてきました。
しかし、EMSを含む日本郵便が提供している海外配送は、民間の航空会社が運行している飛行機の貨物エリアに便乗輸送しているため、民間機の運行が停まると必然的に国際郵便が送れなくなってしまうのです。今回のコロナウィルス感染における一時引受停止の発表は、この事由に起因しています。
現状クーリエで海外配送は可能なのか
ではクーリエはどうでしょうか。世界最大手クーリエであるFedExやDHL、UPSは自社で空輸専用飛行機を所持し運行しています。よってヘッドクォーターのある国の政府から名指しで運行中止を強制されない限り、配送は停まることはありません。例えばUPSの場合、アメリカ政府のCISAに「重要インフラストラクチャ」に指定されているので、アメリカ国内はもちろん、全世界へ配送を継続しています。しかし前述の通り、クーリエはEMSに比べ配送料が割高になります。送料が割高になっても海外配送を希望される購入者の方もいらっしゃいますが、できれば送料は今まで通りの金額で提供していきたいものです。その場合は、クーリエと大型契約をしている配送代行業者を活用すると輸送される荷物のサイズによってはEMSの金額同等もしくは下回る時もあります。
未曾有の世界情勢の中、越境ECはどう取り組んでいくべきか
4月16日現在では、日本郵便から国際郵便の引受再開の発表はされていません。また現在のコロナウィルス感染症の流行を鑑みるに引受再開はもう少し時間がかかると想定されます。しかし海外では外出禁止令がでている事もあり、ECサイトでの買い物が増加、それに伴い日本の越境EC利用も確実に伸びています。海外配送が難しい現状ではありますが、お客様に「配送手法を代替えすることを提案する」「越境ECサイト上で日本からの海外配送状況を共有していく」「海外発送不可期間中に購入された方限定の特別サービスの提供」などの親切丁寧な対応をすることで、自社サイトの信頼度は向上するでしょう。この難局を乗り越えるため、日本人が得意とする手厚いサポート対応を実施してみてはいかがでしょうか。
【常にチェックしておくとよい海外配送情報サイト】