B2B(ビジネス・ツー・ビジネス)とは、企業同士が直接取引を行うビジネスモデルのことです。これは、企業と個人の消費者間で行われるB2C取引(ビジネス・ツー・コンシューマー)とは異なります。 たとえば、卸売業での取引はほとんどがB2B取引です。一方、小売業はB2C取引が主流です。
この記事では、B2Bとは何かを、B2Cとの違いやB2Bの具体例などとともにわかりやすく紐解いていきます。B2Bとは
B2B(BtoB)とは、Business to Business(企業から企業)の略で日本語では企業間取引のことを指すビジネスモデルです。B2Bでは企業と消費者間ではなく、企業同士の間で行われる取引を指します。卸売レベルの取引は通常、B2Bで行われ、一方で小売レベルの取引は主にB2C(Business to Consumer:企業から消費者)として行われます。
例えば、製品やサービスを提供する会社が、その製品やサービスを他の企業に販売する場合がこれに当たります。B2B取引の典型的な例として、原材料を製造業者に供給する企業や、オフィス機器やソフトウェアを他の企業に販売するITプロバイダーがあります。B2B取引は、製造業や卸売業、ITサービス、広告、物流など、多くの産業で見られます。
B2B取引の特徴:B2Cとの違い
企業向けの販売(B2B)は、個人消費者向けの販売(B2C)とは異なるアプローチが求められます。B2B取引において特に重要な販売・マーケティングの違いをいくつかご紹介します。
入札や提案依頼への対応が必要な場合がある
B2B取引の取引額はB2C取引よりもかなり大きいため、B2Bの商談では、購入企業が提案依頼書(RFP)を発行し、各社が入札プロセスに参加することが求められる場合があります。これは、消費者が自動車を購入する際に、複数のディーラーから特定の車種やモデルの最良のオファーを取り寄せるようなプロセスに似ています。
決定までのプロセスが長期化することがある
B2Bの購買決定には、日数や数週間、あるいは数ヶ月がかかることもあります。これは、発注を検討する企業の業務プロセスや注文の規模・内容に依存し、例えば企業によっては購買の意思決定は委員会によって行われ、各委員に対して製品やサービスについての説明と説得するのに時間がかかるという場合もあります。
取引金額が高額になるため、リスクを最小化する工夫が必要
B2Bでは、売買される商品やサービスの金額が消費者向けに比べて大幅に高くなることから、購入者側はリスクを抑えるためのステップを踏む必要があります。そのため、製品の試作品やカスタマイズ対応が求められることもあります。
B2B企業がB2C向けの販売を行うこともある
企業が他の企業に商品を販売する場合でも、消費者に直接販売することも可能です。例えば、ビーズメーカーがコスチュームジュエリー製造業者にビーズを大量に販売する一方で、クラフトショップでクラフト愛好家向けに少量パッケージで販売することもあります。
また、携帯電話メーカーは通信事業者に一括で販売するだけでなく、オンラインで消費者に1台ずつ販売することもできます。
このように、B2BとB2Cの両方の市場を活用することで、新たな売上機会を生み出すことが可能です。
B2B企業がB2Cを行っている例
リクルートホールディングス
リクルートは企業向けに人材紹介サービスやマーケティング支援を提供するB2B企業として知られていますが、「ホットペッパーグルメ」や「じゃらん」といったサービスで、個人消費者向けの予約や情報提供サービスも展開しています。B2BとB2Cの両方を活用し、情報発信力の最大化を図っています。
象印マホービン
象印は元々業務用の炊飯ジャーや保温ポットなどを飲食店やホテル向けに販売していましたが、その技術力を活かして家庭用炊飯器やポットなどのB2C市場に進出しました。家庭用商品がヒットしたことで、B2BからB2C市場へと広がりました。
ブラザー工業
ブラザーはもともと業務用ミシンやプリンターなどを企業向けに提供していましたが、現在はその技術を活かして家庭向けのミシンやプリンターを展開しています
B2B取引の例(B2Bマーケットプレイス)
実際どのようなB2B取引が行われているのかを実感するため、ここで世界的なB2Bマーケットプレイス・卸売りECサイトの例を紹介します。
Amazonビジネス
Amazonは、B2C業界ではもちろん、B2B業界においても信頼性のあるプラットフォームです。2015年にAmazonビジネスという、B2B専用の別プラットフォームを作成し、B2B業界でもビジネスを拡大しています。Amazon Businessの最大のメリットは、その使いやすさでしょう。登録プロセスに沿って手続きを行うだけで簡単にサインアップすることが可能です。管理画面には、在庫数や価格設定などの登録を簡単に行えるだけでなく、見積書の発行や購入時に上司への確認作業も行うことができる「ワークフロー承認機能」なども備わっています。
Amazon Businessは、特に中小企業の参画に強い後押しをしています。リソースの限られている中小企業でもグローバルな舞台でB2B取引に参戦できるよう、調達プロセスをデジタル変革することで、中小企業のニーズを満たすソフトウェアを作り出しているのです。データ収集をすることも可能で、それらをもとに広告戦略を考えたり、掲載優先順位を高めるための改善策を作り上げることもできます。
B2CのAmazonオンラインストア同様、季節限定の値下げや限定割引、大口割引などを随時提供しており、数百万点の商品へのアクセスがあります。また、AmazonBusinessの強みはBusiness Prime などの配送です。条件に応じて適応可否がありますが、当日、翌日、2日後の配送や、パレット輸送、無料配送など、フルフィルメントのオプションが手厚くなっています。
Alibaba Group
Alibaba Groupは、1999年に設立された中国を中心としたメーカーが参戦しているB2Bプラットフォームですが、世界主要国40ヶ国からの何百万という莫大な製品が取り扱われています。Alibaba Group のB2Bマーケットプレイスには、セグメンテーション、オートメーションツール、レポーティングなどの機能が備わっています。これらのツールから集めることのできるデータは、企業にとって有益な情報となります。
カテゴリー別に製品を探すことができ非常に使いやすいほか、翻訳機能、見積もりの作成、配送オプションなどさまざまな機能を提供しています。Alibaba Groupに出品することは無料で、取り引き手数料も発生しません。しかし、Alibaba Groupのプラットフォームを使うには契約費用として年間費用を支払う必要があります。また、自社の製品露出を高めるために、広告費用を支払うこともできます。すると、顧客の地域や検索履歴、キーワードを用いて広告ターゲティングを行うことも可能です。
また、Alibaba Group のマーケットプレイスにおける大きな特徴としては在庫をAlibaba Group に置かなくて良いという点です。よって、AmazonBusinessと違いすべてソフトウェアベースなため、在庫管理のための倉庫などに投資する必要がありません。
楽天市場
楽天市場は、日本版Amazonと呼ばれるほど日本で親しまれているオンラインストアプラットフォームです。楽天市場は基本的に日本におけるマーケットプレイスでしたが、Ebates を買収した後、アメリカでも存在感を出し始めている企業です。
楽天市場の特徴は、店舗画面のカスタマイゼーションが細かくできる点です。店舗画面だけでなく、商品ページまで細かくカスタマイズすることができ、それぞれの企業が自社ウェブサイトに似たようなデザインにすることはもちろん、でも動画や独自のメッセージングなどを入れ込むことにより、他者との差別化を図りやすいインターフェイスとなっています。
カスタマーサポートにも力が入っており、販売者専用のE コマースコンサルタントとともに楽天市場の使い方についてトレーニングやガイダンスを受けることが可能です。
India Mart
India Mart は、1996年に設立されたインドを代表するB2Bマーケットプレイスのプラットフォームです。India Mart は、個人企業、中小企業、大企業向けに設計されていて、インド全土の買い手と売り手を結びつけるデジタルプラットフォームです。India Mart では、耐久消費財、アパレル、製薬関連製品、建設製品、化学製品などさまざまな業界の製品とサービスが取り引きされています。
India Mart のプラットフォームポータルでは、リード管理システム、支払い保護プログラム付きの支払いソリューション、EメールやSNSを使った売り手と買い手のコミュニケーションサポートなどを行うことができます。
B2Bのまとめ
B2Bの取引は、一般的に高額かつ大量の取引が行われることが多いですが、必ずしも大規模なものばかりではありません。たとえば、小規模な事業者が他の小規模事業者に商品やサービスを提供する場合など、小さな規模のB2B取引も多く存在します。
B2B取引の重要な特徴は、「取引の主体が企業同士であること」にあります。これは、企業と個人消費者の間で行われるB2Cとは異なる点です。B2BとB2Cの両方を活用することで、市場の多様なニーズに応え、安定的な収益確保とブランド価値向上を図っている企業も増えているので、B2B取引に興味のある方は、まずはマーケットプレイスからはじめてみることをおすすめします。
よくある質問
B2Bとは?
B2B(Business-to-Business)とは、企業間で行われる商取引です。製品やサービスが企業から企業へ提供され、小売・個人消費者向けの取引(B2C)と区別されます。
卸売とは?
卸売とは、企業、メーカー、流通業者から直接大量の製品を購入し、消費者へと再販するビジネスを指します。卸売では、大量購入をする代わりに通常消費者が目にする小売価格より低価格で取り引きがされるのが一般的です。
B2B取引のメリットは?
B2B取引では契約が長期的で安定していることが多く、大口注文が期待できます。また、顧客の要望に沿ったカスタマイズやサービスを提供しやすい点も特徴です。